「うちの子、間に合いますか?受かる学校はありますか?」

9月の受験相談。前職も含めて、確かに結構な確率でこの言葉が飛び出す。今年は3名中の保護者全員からこれに近い言葉が飛び出した。無理もない、なんせ一番早い入塾のフユトでも3月からの始動なのだから。始めたタイミングのことを夏を越したこの時期に言っても建設的ではないし、6年生の3名は「受かるつもりで」講習も受けているのだからあくまで「保護者の不安」として受け止めるしかない。だから毎年言う。「間に合うと思っているからやってますよ」と。さらに好材料なのは予め書いてもらっている「志望校調査」を見ると第一志望校は三人とも同じ学校だった。つまりその学校の傾向・範囲で授業内容は固められる。大丈夫、間に合う。

ただ今年の受験生については泣き所が一つあった。それは「模擬試験を勧めていない」という点だった。各種模試の広大な出題範囲には太刀打ちできない。受けたとしても対応ができていない結果になるのは明らかだった。その代わり受験を必須にしたのは志望校の「腕試しテスト」「そっくりテスト」だった。ありがたいことにそのテストでも立ち位置は出してくれる。つまり腕試しを受けた子たちの中での偏差値だ。

しかし目の前にある参考資料は各模試の偏差値表。どうやって説得力をもたせるか。

そこで過去問集を取り出す。毎年の出題傾向を見せる。問題を見せる。そうして「学校が求める学力・生徒像」を説明する。「だからこう言う出題傾向になる」と帰納法的な説明。偏差値表はあくまで目安であって真実ではないと。大切なのはその学校が求める「努力の量」が貯められるかどうか、だと。

「なるほど!」という表情の方もいれば「本当に?」の表情もある。

それは仕方ない。偏差値表の仕組みや算出方法など説明はするが「受験生の親」を初めてする人たちには実感が伴わないから。

でもね。一番肝心な受験生たち本人。彼ら彼女らは「偏差値表」とか「間に合う、間に合わない」とか全く見ていなかったんだ。目の前にある問題しか見てなくってね。だから結果は出ると思っていた。だから保護者の方んもは申し訳ないけど「ご不安かもしれませんが今まで通り送迎とお弁当のご手配だけお願いします」とお伝えして話を終えた。全員。

でも思う。大人もそれを超えていくしかないんだと。

それでも時間は流れていく。その腕試しテストが終わったら、いよいよ栃木受験でデビュー戦が待っている。