2024年、8月半ば。つかの間のお盆休校期間が終わった。

例年のように気温そのものは高かったが不思議と毎年、お盆が明けるとカラッとした暑さに変わる。そして6年生はたった5日間のお休みにもかかわらず、8/16に会う彼らはまるで10日間ほど間が空いたかのようにも思える。そりゃ、それまでほぼ毎日会ってたんだからそうなるか。

休み明けの彼らは旅行先からのお土産を配ったり休みの期間、何をしていたかを報告し合うのに忙しい。リフレッシュしたのか心なしか精気がみなぎっている。エネルギッシュに残りの講習を乗り切ろうとしているようにも見えるその光景、毎年の風物詩みたいなもの。そして―

「はーい、じゃ、お盆期間中のホームワーク出しておくんだよー」

-自分のその一言で一瞬ドキッとした表情になり、いそいそと課題を提出しに来る。

これも恒例の風景だ。時に「○✖の分、終わりませんでした…」と報告もある。少し多めに出していることもあるけども、決まってバツの悪そうな表情で言いに来る。さっきまでの【エネルジコ】の顔はどこに行った?だけど少し笑えるんだ、そんな時。そりゃぁ少しは漏れるんだよな、それまで…お盆休みまで走り抜いてきたんだから。でも言わなきゃいけない。「じゃぁどうするの?」と。意地悪かもしれない。でも「本当にベストを尽くしたのか」考えてもらわなければ、9月以降の「質」に関わってくる。その先を知っているのもちょっと辛いんだ。

そんな中、必ずやり遂げてくる生徒がいる。

アキ、だ。

彼女はこの学年で最初に入塾してきた子。そう、この塾が開講して間もない頃から、まだみんなが使っている机やいすが今より真新しかった頃から。けっして器用な子ではなかったんだ。それでもゆっくり、迷いながら、時にはお母さんの手を借りながら確実に着実に育ってきた、そういう子。そんなアキのホームワークノートはいつものように満たしていた。何をか?○(マル)の数じゃない。むしろ難易度が上がっている今、全てを○にすることなど難しい。じゃぁ何を満たしていたのか?それは【解き直し】の精度だった。彼女のホームワークノートは広げると必ず【直し】の青字が目に付く。それは決して解答解説を丸写ししたものではなくって、その証拠に【直しの直し】の赤字がある時もあるんだ。つまり正解までたどり着く「根気」がそのノートにはあるんだ。

根気も必要だけど時間もかかる。だからアキに訊いてみた。

「お盆休みはどこか行った?少しは遊んだ?」

「…お父さんとお母さんと…伊豆に行ったよ。一日だけど。」

少しほっとした。なんでほっとしたかは言わないけど。

そしてまた彼女のノートに目を移し、「残りの夏期講習もいっしょにがんばろう!」緑のサインペンでコメントを残し、彼女の静かな【エネルジコ】が詰まったノートを返却した。

少しずつみんなの目標への熱量も上がっている気がしたんだ。