寒くなってきました。当塾は埼玉県の北にあるので11月と言えば栃木受験をする受験生が多くいます。埼玉・都内受験に向けた【お試し受験】の子も進学も視野に入れた【併願受験】の子もいます。本命受験はあまりいないかな。ちょっとソワソワしてくる時期です。

さて本題。以前、タイトルのある質問をある親御さん(お父さまでした)にされたことがあります。ちょっと前になります。外部生の親御さんで面談の席(外部生向けテストの成績フィードバックの面談です)で聞かれました。結局その生徒は入塾することなく、面談もその一回きりでしたが塾職員に対し、なかなかの「てつはう」を放り込んできたなぁとその時思いました。回答の前に先方にお聞きしました。「それは価値観としてですか?生きる上での現実的な面でですか?」。お父さまは少し考えて…「…両方です」と。

それ踏まえての回答。あくまで個人的な見解として、と付け加えて(当時はまだ大手に在職していたので統一見解ではありませんという意味です)。

「価値観については【必要】という言葉の意味を踏まえるとわかりかねます。ただし現実的・実務的にはそれを【必要条件】とする仕事があることも事実です」と。

お伝えしたかったのは「一定の学歴がないと取れない資格・つけない仕事があるのが現実」だということ。これは言うに及ばずです。また日本の場合はよその国のような契約社会ではないため簡単に雇用・解雇ができない側面があります。それは制度として正社員を雇う際、年金などの社会保障を半分受け持つ義務を負うからです。つまり正社員として雇う際に「慎重に選ぶ」必要が発生します。それであるなら学歴を見られることは必然となります。だってその人の人柄など一瞬でなどわからないのですからわかりやすい経歴、学歴に頼ります。これは企業側からすると意図の有無を問わず仕方ないことだと思います。また国家資格・技能の資格関わらず、「これからこれだけの知識を必要とする業務だからこれだけの学歴は必ず有すること」と定めることも必要となります。これが「日本の社会」であり「現実」なのだと思います。

よく「学歴よりも(会社に)入ってからが勝負だ」という人がいます。自分もそうだと思います。しかし学歴が満たない場合、その「入って」というスタートラインに立てないことが発生する、それも事実です。そういう仕事を希望するならば「価値観」の前に「現実」が横たわります。

先の面談の話題に戻りますと、このようなお話し(意見交換に近かったですが)をさせてもらった後、お父さまは「そうですよね…」と短くつぶやいていたのが印象的でした。それが何を示していたのかは分からなかったですし、今もそうです。そのお父さまとの面談はそれっきりでその後接点もありません。そのお子さんは当時の年齢から考えると今はもうお仕事に就かれているころです。願わくば自分の希望する、やりがいのあるお仕事に就かれていらっしゃれば、と思っています。

みっしぇる